研究課題
若手研究(B)
肺サーファクタントは脂質と蛋白の複合体であり、肺胞の気層-液層の界面における表面張力の維持、また肺胞の虚脱、肺拡張不全を防ぐ上で必須の物質である。サーファクタントは肺胞II型細胞において合成され、層板状の顆粒であるラメラ体に蓄積された後、肺胞腔内ヘエキソサイトーシスにより分泌されていると考えられている。本研究では、ABCA3遺伝子欠損マウスの作製に成功し、KOマウスから肺組織また肺胞洗浄液から脂質を抽出しLC/MS解析を行った結果、パルミチン残基を側鎖に少なくとも一つは持っホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルグリセロール(PG)が、野性型に比してKOマウスの肺間質溶液中において、特異的に減少しており、肺胞2型細胞内においてラメラ体の限界膜上に局在するABCA3が肺サーファクタントの主成分であるDPPCとDPPGを膜輸送している事、さらにラメラ体の形成にも関与することが明らかとなった。さらに我々は本邦で初めて、ABCA3遺伝子異常によるサーファクタント欠損の症例を明らかにした。機能解析を行った結果、W1148Xは細胞内局在異常を引き起こすI型変異、T1114AはATP加水分解能の緩やかな低下を引き起こすII型変異であり、比較的軽度のII型変異が本症例の非致死性と関係していることが推測される。このように、我々が提唱した分類はABCA3遺伝子変異による肺疾患の病態の解明と重症度の評価に役立っことが期待される。
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