研究概要 |
本研究は循環器系に発現するオーファン受容体の内因性リガンドを探索,同定し,新たな循環調節機構を提示することを目的とした。 1.昨年度に引き続き,循環器系に発現する3種類のオーファン受容体(GPR19,GPR37L1,PGR7)発現細胞を用いて新規生理活性ペプチドの探索を遂行した。各種動物組織から調製したペプチド抽出物を細胞に添加後,細胞内cAMP濃度変動を指標に新規ペプチド性リガンドを探索した。昨年度実施した細胞内Ca^<2+>濃度上昇を指標とした探索と同様に,オーファン受容体の活性化に伴う特異的な活性を見出すことはできなかった。原因として,リガンドと予想されるペプチドの組織含量が低いことが考えられる。そこで,従来の100倍濃縮したサンプルを用いたアッセイ系を構築し,探索を現在進めている。 2.今まで申請者は探索を進めていく中で,内因性受容体に作用する種々の既知ペプチドを同定している。そこで内因性受容体由来のシグナルを減弱させるために,受容体と結合するために必須であるGα(Gαq,Gαs,Gαi)タンパク質のC末端断片(Gα-minigene)を作製し,HEK293やCHO細胞に一過性に発現させた。内因性受容体由来のシグナルを若干減弱できたものの,目的である標的受容体由来のシグナルのみを検出できるアッセイ系は構築できなかった。原因として,リガンド添加に伴う細胞内Ca^<2+>,cAMP濃度変動の検出系が高感度であることが考えられる。現在,生理活性ペプチドに作用する内因性受容体の少ないjurkat細胞に標的オーファン受容体を発現させ,内因性受容体由来のシグナルが少ないアッセイ系を構築し,探索を進めている。 今後オーファン受容体のリガンド探索に関わる諸問題を解決するために,a)リガンドソースの改善,b)内因性受容体由来のシグナル除去,c)受容体のソーディングに対するする改善を遂行する。
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