研究課題/領域番号 |
18790272
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
横平 政直 香川大学, 医学部, 助教 (70403780)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 気管内投与 / ナノ粒子 / 肺 / ラット / NNK / 炎症 / 発がん / リスクアセスメント |
研究概要 |
最終目標はラット肺腫瘍モデルにナノサイズオーダー微粒子を投与し肺腫瘍への影響を検索することである。まず、ラット肺発がんモデルの確立を目指した。肺腫瘍を発生させる代表的な物質としての20mg/ratでNNKを腹腔内投与し、経時的に屠殺剖検し、肺に腫瘍が発生する時期を検討した。F344雄ラット、6週齢、25匹を5匹ずつ5群に分け、NNKを腹腔内投与後、1群ずつ12週、16週、23週、30週、37週と屠殺剖検した。肺腫瘍数が多すぎないことを考慮しつつ、最も肺腫瘍数の増加の著しい期間を検索し、適当な屠殺時期を設定する予定であった。しかしながら、12週で過形成性病変が見られたものの、以降肺腫瘍は発生しなかった。そこでさらに追加の予備試験を行った。10mgNNKを3回腹腔内投与する群、2週間のDHPN飲水投与(これにより肺腫瘍が誘発される報告は多数ある)を行う群を設け、さらに気管内投与により肺に炎症を起こす代表的微粒子のQuartz 0.5mgを気管内投与する群をそれぞれの群について設定し、12週、16週、23週、30週で屠殺し評価を行った。NNK投与群は20mg1回投与および10mg3回投与群のいずれも、早期に肺腫瘍性病変は認められるものの経時的に減少することが判明した。一方、DHPN飲水投与群では30週まで徐々に肺腫瘍数が増加した。同じcarcinogen投与群内でquartz投与による肺腫瘍数の増減はいずれの時期においても認められなかった。Quartz投与により、早期には腫瘍と炎症の区別が難しく、30週での評価が適当と考えられた。以上より、DHPNによるinitiationと実験開始30週での検討が本研究の目的に適している判明した。実験3では実際に、ナノサイズオーダー微粒子を含む5つの微粒子を投与し、DHPN誘導肺腫瘍への影響を検討した。F344雄ラット120匹を15匹ずつ6群(1〜6群)および5匹ずつ6群(7〜12群)に分けた。1〜6群には実験開始O〜14日目に蒸留水で0.1%に調整したDHPNを飲水投与した。実験開始4週目に1〜5および7〜11群にはそれぞれ、0.2mlの生理的食塩水に懸濁した0.5mgのquartz、CuO(粒径μm):1群および7群、CuO(粒径nm):2群および8群、TiO2(粒径μm):3群および9群、TiO2(粒径nm):4群および10群を気管内に投与した。実験開始後30週に全群屠殺剖検した。その結果、5つの微粒子のいずれも発がん修飾作用は示されなかった。しかしながら、本研究をもって、ナノサイズオーダー微粒子の発がん促進作用は乏しいと結論するのは難しく、今後のさらなる検討が望まれると考えられた。
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