研究課題/領域番号 |
18790273
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
|
研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
加藤 玲子 国立医薬品食品衛生研究所, 研究員 (00333469)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | VEGF / チロシンキナーゼ / ERK / 血管 / リンパ管 / ノックアウトマウス / 負の制御 / 脂肪細胞 / MAPキナーゼ / 器官形成 / 血球細胞 |
研究概要 |
Ras-Raf-ERK経路の正および負の制御因子は多数知られているが、我々のグループが発見した Sprouty/Spredファミリーもそのひとつである。我々はSpred1、Spred2それぞれの単独欠損マウスを作製し、頭蓋の形成異常や造血系の亢進が認められるが、ともに出生、生殖は可能であることを報告した。今回Spred1/Spred2両ホモ欠損(DKO)胎仔を作製したところ、著明な出血、浮腫を認め、胎生12.5〜15.5日に100%致死であった。出血は主に頸部、腎臓周囲を中心にみられ、リンパ管あるいは血管の異常が予想された。そこでリンパ管内皮細胞マーカーであるLYVE-1および血管内皮細胞マーカーであるPECAM-1/CD31のwhole mountの免疫染色を行なった。その結果、血管はほぼ正常であるが、拡張した不整な管腔はLYVE-1陽性であり、拡張した管腔はリンパ管であると考えられた。またリンパ管の数自体も増加していた。驚いたことに、正常な胎仔では見られないLYVE-1、CD31両陽性の管腔がSpred1/Spred2 DKO胎仔の頸部において認められた。さらに生化学的な機能解析の結果より、SpredはVEGF-C/VEGFR-3シグナルの生理的な負の制御因子として機能しており、リンパ管発生、特に静脈からの適切な分離に必須の分子であると報告した。またSpred1に関してベルギー、フランス、アメリカとの国際共同研究によって神経繊維腫(NF)1型患者で変異を認めた。カフェオレ斑を持つが、NF1遺伝子に変異を認めない家族性優性遺伝のNF1様患者、5家系について第15番染色体上のSPRED1遺伝子に変異が発見された。ほとんどはナンセンス変異によるC末側欠失変異である。SPRED1に変異を持つ患者は、カフェオレ斑、腋窩の雀卵斑、ヌーナン症候群様顔貌(眼間開離・眼瞼下垂)、巨頭症、注意欠陥障害・学習障害を示した。またこれらの表現型はSpred1欠損マウスの表現型ともよく一致した。SpredがRas/ERK経路の抑制因子であることが遺伝学的にも証明された。
|