研究概要 |
【目的】加齢黄斑変性(AMD)患者において、血清中のインターロイキン6 (interleukin(IL)-6)上昇が脈絡膜新生血管(CNV)発症のリスクファクターとなることが報告されている。今回我々はIL-6受容体(IL-6R)をマウスレーザーCNVモデルにおいてブロックし、炎症性血管新生に対する効果とその分子・細胞メカニズムを検索した。 【方法】C57BL/6マウスに対しレーザー光凝固によりCNVを誘導し、脈絡膜におけるIL-6 niSNA、タンパク発現をRT-PCR及びELISA法で検討した。また、抗IL-6レセプター抗体(MR16-1)またはcontrol rat IgGを光凝固直後に腹腔内投与し7日後にCNV体積を評価した。また、MR16-1の細胞内シグナルへの効果を明らかにするため、マウス脈絡膜におけるSTAT3の活性化をウェスタンブロット法により解析した。 【結果】マウス脈絡膜のIL-6の発現はmRNA、タンパクともにCNV誘導によって有意に上昇した。 CNV体積はcontrolrat IgG投与群(508,423±136,303μm^3)に比し、MR16-1 10 μg/g投与群( 312,076±87,973 μm^3)、100 μg/g投与群(349,720±104,395μm^3)で有意に抑制された(P<0.001)。また、マウス脈絡膜のリン酸化STAT3もMR16-1の投与により有意に抑制された(P<0.05)。 【結論】IL-6/IL-6R系の下流におけるJAK/STAT Pathwayの活性化がCNV形成を促進させることが明らかとなった。抗IL-6レセプター抗体はCNV発症抑制に有用な薬剤となりうることが示唆された。 Am J Pathol 2007,170(6),2149-2158
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