研究概要 |
アルツハイマー病(AD)は、脳内にアミロイドβペプチド(Aβ)が蓄積することに起因すると考えられている。αセクレターゼはAβドメイン中でアミロイド前駆体タンパク質(APP)を切断するため、Aβの産生抑制に働く。これまで、αセクレターゼの候補酵素としてADAMプロテアーゼが報告されているが、その活性化機構はほとんど分かっていなかった。最近、我々はM16ファミリーに属するメタロエンドペプチダーゼNardilysin(NRDc)が、TNF-α converting enzyme (TACE/ADAM17)の活性化を介し、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB-EGF)の細胞外ドメインのシェティング(切断)を顕著に増強することを明らかにした(Nishi, Hiraoka他,JBC,2006)。本研究では、1)NRDcはTACEのαセクレターゼを活性化すること、2)NRDcはTACEだけではなく、他のADAMプロテアーゼ(ADAM9,ADAM10)のαセクレターゼも活性化すること、3)NRDcによるαセクレターゼの活性化に伴い、Aβ産生が抑制すること、4)RNAiによりNRDcをノックダウンするとAβ産生が増加すること、5)NRDcは大脳皮質の神経細胞に強く発現していること、を明らかにし、NRDcはαセクレターゼの活性調節因子である可能性を示した(Hiraoka他,J. Neurochem, 2007)。
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