研究概要 |
本研究は麻疹ウイルス感染モデルマウスを用い、麻疹ウイルス感染時に起こる免疫抑制のメカニズムの解明を目指す。 リンパ球側の要因:各種Tgマウス(hCD46/hCD150 tg,hCD46 tg,hCD150 tg,non-tg,hCD46/hCD150 tg IFNARko,hCD46 tg IFNARko,hCD150 tg IFNARko,non tg IFNARko)に麻疹ウイルス(MV323)株を4×105 PFU静脈内投与し、4日後、マウスの脾臓よりリンパ球を回収、PHAにて刺激した。3H-チミジンの取り込みにてリンパ球の増殖を測定したところ、IFNARkoマウスにて有意にマイトージェン刺激(PHA)に対する応答性が低下した。同様にCD4陽性、CD8陽性細胞それぞれもIFNAR依存性に増殖抑制が確認できた。野外ウイルス株MV323GFP(GFP発現麻疹ウイルス)の蛍光探索から、免疫抑制が起こっているTリンパ球には麻疹ウイルスが感染していないことを明らかにした。以上より、現在麻疹ウイルス感染モデルマウスにおいて、T細胞の免疫抑制がヒトと同様に起こるが、T細胞にはウイルスが直接感染していないことが明らかとなった。 樹上細胞側の要因:各種Tgマウスから、骨髄性樹状細胞を既報によって調整し、抗原提示機能、サイトカイン誘導能、CTL活性化能、NK活性可能などを個別に検定した。IFN誘導が感染応答に重要であったが、これらのマウスではIFNが殆ど誘導されなかった。そこで、CD150陽性でIRF-3,IRF-7の欠損マウスで免疫応答を調べた。結果はIRF-3がIFN誘導のみならず抗ウイルスNK活性化の誘導にも必須の役割を果たしていることが判明した。IRF3欠損マウスでIFNAR欠損マウスと同様の易感染性が見られることも判明した。このマウスにおける抗原提示細胞の機能を検討する予定である。
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