研究課題
若手研究(B)
昆虫病原バキュロウイルスの哺乳動物細胞内における自然免疫誘導機構を解析するにあたり、TLR及びそのシグナルアダプター分子であるMyD88遺伝子欠損マウス由来の免疫細胞、非免疫細胞を評価に用いた。マクロファージ細胞及び樹状細胞におけるI型インターフェロン(IFN)の産生はTLR非依存的な傾向が強く、マウス胎児繊維芽細胞(MEF)においても同様の傾向であることが示された。しかしながら、バキュロウイルスのIFN誘導因子であるウイルスゲノムDNAを反応させた場合はTLR9-MyD88依存的にIFNを惹起することが示された。これらのことから、ウイルスゲノムDNAはその非メチル化CpGモチーフ配列に依存した特性を有しているが、実際のウイルス感染時にはTLR非依存的な経路にてIFNの産生を惹起している可能性が示唆された。一方で、MEF細胞に対してはウイルスゲノムDNA自体の反応もTLR非依存的であり、バキュロウイルスによる自然免疫の活性化IFN転写誘導因子であるIRF3に依存していることが示された。さらに、バキュロウイルスを感染前処理したMEF細胞では、24時間後におけるVSV感染攻撃に対して抵抗性を示すことが明らかとなり、IRF3遺伝子欠損マウス由来MEF細胞ではその抵抗性が消失した。近年、RNA認識センサー分子と同様に、外因性及び内在性のDNA認識機構の存在の可能性が示唆されており、その経路はIRF3とそのリン酸化キナーゼであるTBKlに依存していることが示唆されている。VSV感染攻撃に対する抵抗性はTBKl欠損遺伝子でも消失したことから、バキュロウイルスによる自然免疫誘導も未同定のDNA認識センサーによる可能性が示唆された。
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Journal of Virology Vol.81,No.l7
ページ: 8953-8966
Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.104 no.5
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