研究概要 |
我々は、これまでに7番染色体のIns2遺伝子に変異をもつAkitaマクスを糖尿病モデルマウとして確立し、その病態に性差があることを報告してきた。Akitaマウメの雄は雌に比ドて摂食量が著しく亢進している。そこで、性差と摂食量との関係を調べるために、去勢による影響を調べた。 Akitaマウス雄では、精巣除去により摂食量の減少、血糖値の低下がみられた。テストステロン投与実験から、テストステロンによる摂食亢進が血糖値の上昇に寄与することが明らかとなった。一方、雌では、卵巣除去をおこなっても、摂食先進に影響がみられなかった。 これら摂食亢進のメカニズムを調べるために、末梢から分泌される摂食調節因子について調べたところ、Akitaマウス雄において、摂食抑制因であるヤプチンが有意に低下し、この値は精巣除去によヤ回復した。Akitaマウス雄では、差がみられなかった。さらに、摂食調節中枢の視床下部神経ペプチドの発現レベルをみたところ、Akitaマウス雄では摂食抑制因子であるPOMCの低下、摂食促進因子であるNPYの上昇がみられた。一方、Akitaマウス雄では、摂食抑制因子であるCART、CRFの発現れべるの低下がみられた。この結果より、Akitaマウスでみられる摂食亢進の調節メカニズムには性差がみられることが示唆された。Iこの結果をまとめ、Biochem Biophys Res Commun.に報告した。 最近、N-arachidonoylethanolamide(AEA),2-arachidonoylglycerol (2AG),N-oleoylethanolamine (OEA)などの内因性カンナビノイドが摂食調節に関与していることが報告されている。そこで、Akitaマウスの小腸、視床下部におけるこれらの値を測定したところ、野生型とは有意な違いを示した。また雌雄や異なる傾向を示した。
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