研究概要 |
1.ベトナムと日本における育児状況に関する調査 平成19年5-12月に3・4か月児健診を受診した須賀川市の母親392名と,同年10-12月に1-3か月児健診を受診したホーチミン市の母親294名を対象とした。特に,若く,初産で,予定外に妊娠した母親において,育児の自信がなくなる頻度が高いことが明らかになった。育児の自信は様々な育児状況と,母親の自己効力感に強く関連しており,自己効力感を高める育児支援が必要であることが示唆された。 さらに,ホーチミン市医科薬科大学付属病院小児科医師が日本で育児支援研修を受けることにより現地との協力体制を強化し,越語のスクリーニング票の開発とその実用性を確認することができた。 2.日本における育児支援プログラムの実施と評価 須賀川市の平成18・19年度3・4か月児健診時に,QOL・自己効力感・うつ指標により育児困難ハイリスク者をスクリーニングし,カナダで普及しているNobody's Perfectを参考にした育児支援プログラムを平成19・18年度に4期実施した。データ収集が完了した参加者計18名(ハイリスク参加群)のプログラム参加前後の評価指標の変化を,平成19年5月から平成20年3月に3・4か月と9・10か月児健診の両方を受診したハイリスク非参加群(198名)、非ハイリスク群(38名)の指標の変化と比較検討した。QOLはハイリスク参加群のみで,自己効力感はハイリスク参加群と非ハイリスク群で上昇を認めた。育児に自信のない割合については,統計的に有意ではないが,ハイリスク非参加群よりハイリスク参加群の方がより低下し,非ハイリスク群では上昇した。参加者によるプログラム評価では,子育ての考え方が前向きになり,プログラムが役に立ったとほぼ全員が回答した。以上より,本プログラムの有効性が確認された。
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