研究概要 |
米国で疼痛患者の動作遂行度を評価する目的で開発されたPPT Batteryの日本語版を作成し,その信頼性と妥当性,および関連要因を検討する目的で,四肢体幹の慢性疼疹痛患者82名を対象に,PPT Battery日本語版を用いて痛みによる活動制限の評価を行った。信頼性に関して,評価者間信頼性,評価者内信頼性共に高いICC値を示した。妥当性に関して,PPT Batteryの日本語版の各項目得点とFIMの合計得点との間に有意な関連が認められた。関連要因に関して,単変量解析または重回帰分析の結果,PPT Batteryの日本語版の各項目に痛みによる感情状態が有意に関連し,また,その他の要因として年齢と歩行補助具使用の有無が有意に関連していた。 今回作成したPPTBatteryの日本語版は,四肢体幹の慢性疼痛患者の活動制限を評価する尺度として十分な信頼性と妥当性を有することが示された。また,痛みそのものの軽減を図るだけでなく,痛みによる感情状態を改善することで,慢性疼痛患者の活動制限を改善できる可能性があること,および,PPT Batteryの日本語版による評価を行う際には,対象者の年齢,歩行補助具使用の有無の要因を考慮に入れる必要があることが示唆された。 また,PPT Batteryの日本語版のがん患者に対する実施可能性,痛みと日常生活に関連する阻害要因を検討する目的で,術後早期のがん患者107名を対象に,PPT Battery日本語版を用いて痛みによる活動制限の評価を行った。信頼性に関して,評価者間信頼性,評価者内信頼性共に高いICC値を示した。妥当性に関して,PPT Batteryの日本語版の各項目得点とFIMの合計得点との間に有意な関連が認められた。関連要因に関して,単変量解析または重回帰分析の結果,PPT Batteryの日本語版の各項目に痛みの程度,痛みによる感情状態が有意に関連し,また,その他の要因として年齢,歩行補助具の使用の有無,抑うつ状態,倦怠感の程度が有意に関連していた。
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