研究概要 |
1.心室機能や機械的同期不全を心エコー2Dストレイン法という新しい手法により定量的に評価できるか検討し、正常心から病的心まで拡張能と収縮能には非常に密接な相互関係が存在することを示し(J Am Coll Cardiol. 2007;49:Suppl 150A、Jpn Cir J. 2007;71 Suppl I:226, Circ 2007;116 Suppl II 708-709)、さらに慢性右室負荷において、右室拡大による外的要因により左室にも同期不全が及ぶことを証明した(Am J Cardiol 2008;101:1206-12)。 2.慢性肺高血圧患者20名、急性肺塞栓症患者20名にそれぞれ2Dストレイン法を用いて右室同期不全を測定した。慢性肺高血圧患者、急性肺塞栓症患者ともに正常者(Control)に比し明らかな右室拡大、収縮能の低下(16±6%* and 13±4%*,*p<0.05vs.Control:25±3%)、同期不全(199±90msec*220±102msec*,*p<0.05vs.Control:78±39msec)が認められた(論文投稿予定)。このように、慢性および急性右室負荷により、明らかな右室機能不全と機械的同期不全が存在することを臨床データから証明することが出来た。 2.イヌ慢性肺塞栓症による肺高血圧モデルを作成し、コンダクタンスカテーテルによる圧容積関係と心エコー2Dストレイン法による右室機能と同期不全を検討した結果、右室同期不全が肺高血圧による右室機能の悪化に伴い進行することを確認した(実験継続中)。また、臨床研究では、慢性肺高血圧患者に対する右室自由壁刺激を行い、機械的同期不全に及ぼす影響を検討した結果、若干名の検討ではあるが、右室自由壁ペーシングで明らかに右室同期不全の改善が認められたため、臨床研究を継続中である。
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