研究課題
若手研究(B)
1.ナノ粒子の細胞内送達培養ヒト冠動脈血管平滑筋細胞の蛍光色素封入ナノ粒子の取り込みを観察した。PLGA濃度のFITC封入PLGAナノ粒子あるいはFITC単独を0.5mg/mLを添加したところPLGAナノ粒子では少なくとも1週間以上細胞に送達、停留することが明らかになった。FITC単独では細胞内に送達されないことを確認した。このことから我々の開発したPLGAナノ粒子が優れた細胞送達性、細胞停留性を有していることが示された。また、共焦点レーザー顕微鏡および透過型電子顕微鏡で観察したところ細胞質内にナノ粒子が取り込まれているのが観察された。2.ラット脳虚血、再灌流モデルの作製および虚血領域へのナノ粒子の送達効率昨年度はIwaiらの報告にある方法に準じて、マウスモデルを作製しマーカー(FITC)封入ナノ粒子が細胞内に送達されることを脳虚血一再灌流モデルで明らかにしたが、ナノ粒子が脳内にわずかに認められたに過ぎなかった。したがって、本年度はKumaiらの報告にあるレーザー照射によるラット中大脳動脈閉塞モデルを用いて、マーカー封入ナノ粒子の脳虚血領域および正常領域へのナノ粒子の送達効率を確認した。その結果、虚血領域とくにペニンブラ領域の神経細胞に多数のナノ粒子が認められた。脳には血液脳間門があり、神経細胞への薬剤・遺伝子の送達は極めて困難であることから本研究成果の意義は極めて大きい。次にGFPプラスミド封入ナノ粒子を同モデルに投与し、GFPプラスミドのナノ粒子からの放出およびタンパク発現を観察したところ虚血領域にGFPタンパクの蛍光が認められた。今後、この画期的脳内ナノテクDDSによる抗MCP-1遺伝子(7ND)の脳梗塞、虚血再灌流部位の炎症、酸化ストレス抑制作用を検討し、脳梗塞ならびに脳虚血-再灌流に対する画期的ナノ遺伝子治療の開発を目指す予定である。
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Atherosclerosis (in press)(印刷中)
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http://kyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001970/research.html