研究課題/領域番号 |
18790550
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長岡 鉄太郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (70407295)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 肺高血圧 / 低酸素 / キマーゼ / アンギオテンシン |
研究概要 |
肺高血圧の病態生理の研究として、アンギオテンシン(AT)-II産生酵素であるキマーゼの役割について検討する事を目的に実験を行った。人と同様のキマーゼ活性を有するという理由から、当初実験にはシリアハムスターを用いた。低圧低酸素チャンバー(410mmHg)内で3週間ハムスターを飼育し、低酸素誘発肺高血圧モデルハムスターを作成した。次に、肺内のキマーゼ蛋白の発現の有無を確認するために、肺高血圧ハムスターとコントロールの肺組織を用いて、免疫染色とwestern blottingを行った。免疫染色では明らかなキマーゼ蛋白の増加は確認出来なかったが、肺組織のwestern blottingでは、コントロールと比較して肺高血圧ハムスターのキマーゼ蛋白が明らかに増加している事が確認出来た。さらに、薬理学的にキマーゼ拮抗薬が肺高血圧の病態に関わっているか否かを確認するために、摘出した肺動脈リングを用いて実験を行った。摘出した肺動脈にアンギオテンシン変換酵素阻害薬、キマーゼ拮抗薬、もしくはその両者を前投与後にAT-1を投与し、それぞれの肺動脈の収縮を測定した。コントロールの肺動脈では、キマーゼ拮抗薬はAT-1の収縮を抑制しなかったが、肺高血圧モデルの肺動脈では、vehicleに比べてキマーゼ拮抗薬は有意にAT-1の収縮を抑制した。以上より、慢性低酸素曝露肺高血圧ハムスターにおいては、キマーゼの発現が増加しており、そのキマーゼが一部AT-1による肺動脈の収縮に関与している事が示唆された。次に肺組織を用いて、キマーゼとアンギオテンシン変換酵素活性を測定したが、コントロールと肺高血圧群で優位な差は得られなかった。キマーゼ阻害薬の肺高血圧の抑制効果を確認するため、ハムスターに対する長期投与実験を予定していたが、キマーゼ阻害薬は経口以外に投与方法がなく、また頻回の投与が必要であり未だ実験を行えていない。最近になり、ラットも人と同様のキマーゼ活性を有するという報告がされたため、低酸素誘発肺高血圧ラットの肺組織中のキマーゼ蛋白を測定したが、ラットでは明らかな増加は認めなかった。また、キマーゼがさらにRho kinaseを活性化し、肺高血圧の進展に関与していると仮説を立て、肺高血圧ラットの肺組織中のRho kinase蛋白を測定したが、こちらも優位な増加は認めなかった。キマーゼに関する実験は今後も継続し、キマーゼ阻害薬の肺高血圧ハムスターに対する長期投与実験を施行する予定である。
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