研究概要 |
本年は、蛍光物質であるGFPを各細胞に発現するマウスから骨髄細胞を採取し、各血液系統に分化した細胞を除去したLN細胞を分離した。分離したLN細胞を、昨年培養を確立した一次グリア混合培養と共培養した。通常一次グリア混合培養内のマイクログリアは球形でTREM2陽性、Iba1陽性であるが、共培養したLN細胞は形態学的に球形のものと突起を伸ばしやや大型のアメーバー様形態を示すものが混在していた。球形の細胞はTREM2陽性、Iba1陽性でありミクログリアに分化していると考えられたが、アメーバー様の細胞はTREM2陰性であった。 次にグリア培養上清のサイトカインの役割を調べるためにした一次グリア混合培養と共培養した。通常一次グリア混合培養内のマイクログリアは球形でTREM2陽性、Iba1陽性であるが、共培養培養上清でLN細胞を培養した。LN細胞は共培養したときと同様の形態を示し、円形のものと突起を出しているものの両形態を示した。しかしTREM2,Iba1は両方とも陽性であった。 さらに培養上清中のGM-CSF,M-CSFの役割を検討するためLN細胞をGM-CSF,M-CSFそれぞれの存在下で培養した。GM-CSFで培養したとき、LN細胞は形態学的に膨化した。TREM2は細胞内で陽性であり、Iba1は陽性であった。LN細胞をM-CSFで培養したとき、培養上清で培養したときと同様にLN細胞は円形のものと突起を出しているものの両形態を示し、TREM2,Iba1両方とも陽性であった。 以上のことから一次グリア混合培養上清にはM-CSFが含まれていると考えられ、ミクログリアの分化環境下ではM-CSFが重要であると思われた。しかし他のグリアとの細胞接着がミクログリアの形態を維持するために必要であると考えられた。現在これらの結果をまとめ論文準備中である。
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