研究課題/領域番号 |
18790606
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
林 幼偉 国立精神・神経センター, 神経研究所 免疫研究部, 併任研究員 (80392439)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 免疫学 / 脳・神経疾患 / 制御性細胞 |
研究概要 |
多発性硬化症は中枢神経系に脱髄病変を生じ、多彩な神経障害を呈するが、症状の再発・寛解を伴いやがては進行する神経難病である。その動物モデルとして実験的自己免疫性脳脊髄炎(以下EAE)が研究されているが、再発・寛解の詳細なメカニズムについては依然として不明である。EAEを誘導する脳炎惹起性ペプチドは動物の種や系統によって決まり、従来EAEの臨床経過は動物種の系統によって単一であると思われていたが、我々は脳炎惹起性ペプチドが複数同定されているSJL/Jマウスにおいて、同じ系統であってもそれらペプチド毎に異なる臨床経過のEAEが誘導できることを明らかにした。SJL/JマウスではPLP139-151による感作が一般的であり、再発・寛解型のモデルとして研究されているが、それと重複するPLP136-150で感作すると、再発しない単相性寛解型の経過をとり、さらにその後どの脳炎惹起性ペプチドで感作しても、PLP139-151の感作による場合と異なり、EAEが再誘導できなくなるという特異な現象を認める。その理由として、PLP136-150感作EAEではリンパ節に誘導型のCD4+CD25+制御性T細胞が寛解期に誘導されて長期に維持されるが、PLP139-151感作EAEではその誘導が一過性で不充分であること、さらにその制御性T細胞の動態においてFoxp3は必要条件ではあるが充分条件ではなく、CD69とCD103の発現が重要であることを明らかにした。 この誘導能の違いをもたらすメカニズムを構造的に解明するため、PLP136-150とPLP139-151を中心とするペプチドを作成し、PLP136-150のN末端の存在とPLP139-151C末端の欠如が重要であることを示した。また感作ペプチド特異的寛容誘導の実験により、PLP136-150反応性細胞が制御誘導性でPLP139-151反応性細胞が脳炎惹起性であるのではなく、PLP136-150感作でもPLP139-151感作でも同等のTCRレパトアを持つ脳炎惹起性T細胞が誘導され、交差反応性を示すが、PLP136-150感作ではさらに抑制能誘導性T細胞も誘導されやすいこと、さらにlow dose感作の実験により、TCR-peptideのaffinityの差が関与していることを突き止めた。
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