研究概要 |
1.Tgマウスからの単離糸球体を用いた糸球体遺伝子パターン変化の検討(H18年度より継続検討) 昨年度糖尿病腎症との関連が報告されているTGFβ-1遺伝子のTgマウス糸球体における発現充進を確認したが、引き続きメサンギウム増殖・基質集積に関連する遺伝子(fibronectin, SPARC)の発現増加及び、NADPH酸化酵素系遺伝子(p47phox,p67phox,PU.1)の発現充進を確認し、その結果、Tgマウス糸球体におけるeNOS発現は抑制されていた。 2.STZマウス及びSREBP-1KOマウス糸球体の検討 STZマウス単離糸球体の検討では未処理マウス糸球体と較べSREBP-1発現の僅かな増加と、4型コラーゲン、TGFβ-1遺伝子の増加及びfibronectinの発現増加傾向を認めた。STZ処理Tgマウス糸球体では、これら遺伝子発現に対する追加効果はなく、STZ処理KOマウスの糸球体では、これら遺伝子の発現亢進は認められなくなった。また、in vivoの検討でもSTZ処理KOマウスのアルブミン尿やメサンギウム増殖はSTZ処理WTマウスのこれらよりも抑制されており、今回観察された糖尿病腎症様変化はSREBP-1に大きく依存すると考えられた。 3.アデノウイルスベクターを用いたメサンギウム細胞株での検討 MES-13細胞に対し、GFP,SREBP-1c,SREBP-1cドミナントネガティヴ(DN)体をアデノウイルスベクターで導入して検討した。TGF-1遺伝子はSREBP-1cベクターでは導入量に応じて増加し、DN体では導入量に応じて減少した。P47phox,PU.1についてもSREBP-1cベクター導入量に応じて発現増加が認められた。
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