研究課題
若手研究(B)
本年度は、中枢のグレリンがどのような生理作用を持つのかを明らかにすることを目的とし、研究を進めた。その結果、中枢で糖欠乏状態が誘導されると、中枢で合成されるグレリンが増加することを明らかにした。そこで、このメカニズムを明らかにするためにグレリン遺伝子欠損マウスを作出して解析を進めたが、前年度の報告書に記載したデータ以外でも、糖・脂質代謝に異常の認められるような結果は得られなかった(Regul Pept. 145:7-11,2008)。そこで、グレリンのより本質的な機能を見いだすため、グレリン遺伝子欠損マウスにグレリンを投与し、中枢のどの部分で神経活動が上がってくるのかをc-Fosタンパク質をマーカーとして詳細に検討した。すると、これまでに知られていた弓状核や視交叉上核、延髄孤束核以外の部位でもc-Fos発現が見られたことより、これら諸神経核からグレリンの生理作用を推定し、確認する研究手法をとった。最も注目したのは、延髄縫線核でのc-Fos発現の増加である。この領域は、近年、体温調節に関与する部位として報告されている。そこで、グレリン遺伝子欠損マウスの腹腔内に体温測定用のプローブを埋め込み、持続的に体温測定を行った。すると、野生型マウスと比べ、明期における体温が高く、また、体温変動の大きいことが明らかになった。体温の上下は中枢性の代謝調節機構との関連が深いと予想されるため、本研究以降、グレリン遺伝子欠損マウスにおいて見いだした新たな表現系解析をもとに、代謝制御におけるグレリンの役割を明らかにし、内分泌代謝性疾患の予防や治療に役立てたいと考えている。
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