研究課題/領域番号 |
18790651
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安永 純一朗 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (40362404)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | HTLV-I / 成人T細胞白血病 / ウイルス発がん |
研究概要 |
本研究により、申請者は以下のことを見出した。 1.IL-2依存性ヒトT細胞株Kit225は、HBZの強制発現によりIL-2への感受性が増加し増殖が促進された。マイクロアレイによる網羅的発現解析により、HBZによるE2F-1をはじめとした細胞周期関連遺伝子の発現増加がその一因と考えられた。 2.HBZの細胞増殖機能はRNAの形で発揮され、一方、HBZ蛋白はHTLV-I TaxのHTLV-I転写活性化を抑制した。 3.HBZ RNAおよび蛋白の分子機能を解析するため、RNAに関しては酵母3ハイブリッド法、蛋白に関しては酵母2ハイブリッド法による標的分子のスクリーニングを行い、候補として前者により2遺伝子、後者により25遺伝子単離した。 4.HBZトランスジェニックマウスでは末梢リンパ球の増加を認め、高率に皮膚炎を発症することが判明した。組織学的解析により、皮膚のみならず肺など様々な組織へのリンパ球浸潤が認められ、ヒトのHTLV-Iキャリアと似た表現型を示した。 5.実際のATLサンプルを用いて、プロウイルスの欠損、HBZの発現および塩基配列を解析し、プロウイルスに欠損がある症例であっても全症例でHBZの発現を認めた。この結果は本年度J.Virol.に報告した。 以上の結果より、HBZはATLの発症に必須の分子であり、加えてRNAと蛋白で全く異なる機能を有する極めてユニークな分子であることが示唆された。本所見は分子機序に基づいたATLの新しい治療法構築に有用な情報をもたらすと考えられる。
|