研究概要 |
本研究の目的は、マウス胎生期肝臓造血以前に造血活性がある卵黄嚢、大動脈-中腎-生殖隆起(AGM)領域で発生した造血細胞が、血流を介して、いつ、どのように肝臓ヘホーミング(移動・定着)し、どのようなニッチを構築しているか解明する事である。 1.胎生期造血幹細胞のFlowcytometry解析 胎齢10.5日目AGM領域における表面抗原をFlowcytometryで解析した。免疫染色に-致し、CD31陽性, CD31陽性,c-Kit陽性分画に造血幹細胞が含まれていた。更に詳細に検討したところ、これらの細胞は他の造血幹細胞マーカーであるCD150を68%、EPCRを20-36%、CD41を95%発現していた。この分画における白血球マーカーであるCD45の発現を検討すると、胎齢が進むにつれてCD45陽性細胞が増加する傾向が認められ、造血幹細胞の血球系譜への分化は、胎齢9.5日目から10.5日目と示唆された。 2.造血幹細胞肝臓ホーミングに必要な接着因子の同定 α鎖の発現を検討したところ、2,3,4,5,6,7,9,vの8種類が検出された。定量的PCRによる解析が必要であり、今後real-time PCRを用いて発現量を検討する予定である。 3.新規肝臓ホーミング解析システムの確立. 肝臓へどのような細胞がホーミングするか解析するため、Donor胎仔肝臓をRecipient胎仔脳室、あるいは眼窩周辺へ移植し、全胚胎仔培養を行った。一部では血流も認められ、今後遺伝子改変マウスを用いて解析を進める予定である。 4.電子顕微鏡解析の取り組み ホーミングした造血幹細胞がどのようなニッチ細胞を必要としているか検討するため、Sca-1 GFP Tgマウスを用いて解析中である。
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