研究課題/領域番号 |
18790693
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
膠原病・アレルギー・感染症内科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中山田 真吾 産業医科大学, 医学部, 非常勤助教 (60389426)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 関節リウマチ / 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / Rho / RANKL |
研究概要 |
関節リウマチ(RA)治療に於いては、滑膜炎症の制御のみならず、骨関節破壊の抑制、及び骨粗鬆症の制御が急務の課題である。低分子量G蛋白質Rhoは多彩なシグナル伝達に関与するが、RAにおける骨破壊および骨代謝における役割は不詳であった。今回、RAおよび変形性関節症(OA)患者由来のヒト骨芽細胞を用いて、骨代謝におけるRhoの役割を明かにした。骨芽細胞は常時β1インテグリンを介して骨基質蛋白と接着するが、骨基質であるI型コラーゲンとの接着で骨芽細胞上のβ1を刺激すると、Rhoの活性化が誘導され、ICAM-1、RANKLの発現、及び細胞内アルカリフォスファターゼ(ALP)産生が著明に誘導された。Rhoの活性化を特異的に阻害するC3をアデノウイルスベクターにより骨芽細胞へ遺伝子導入すると、β1で誘導されるICAM-1、RANKLの発現が完全に阻害され、ALP産生、細胞増殖は更に増強した。β1刺激によるICAM-1、RANKLの発現誘導はチロシンリン酸化、MAPK阻害薬の添加により完全に阻害されたが、ALP産生は阻害されなかった。骨芽細胞と単球の共存培養系においてβ1を刺激した骨芽細胞は破骨細胞を高率に誘導したが、C3発現細胞ではβ1を刺激しても破骨細胞は全く誘導されなかった。以上、骨芽細胞におけるRhoは、骨基質蛋白との接着による骨芽細胞内ALP産生及び細胞増殖を抑制的に制御するとともに、FAK-Rho-MAPK経路を介したICAM-1、RANKLの発現増強による破骨細胞成熟誘導を促進する事が明らかとなった。即ち、Rhoシグナルは骨芽細胞の分化を抑制し、破骨細胞前駆細胞との細胞接着を促進する事で、骨吸収促進作用を齎す機序が示唆された。以上、RA滑膜炎部に豊富に存在するTNF-αなどの炎症性サイトカインはRhoの強力な活性化因子であるが、斯様な炎症性メディエータに加えて、細胞接着シグナルによるRho活性化がRA骨破壊に重要な役割を担うことが示唆された。
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