研究概要 |
先天性中枢性低換気症候群(Congenital central hypoventilation syndrome:CCHS)は,睡眠時の低換気もしくは無呼吸を特徴とし,明らかな循環・呼吸器疾患,神経筋疾患,代謝性疾患,先天奇形などが除外された症候群である.2003年,Amielらは本症の病因をPHOX2B遺伝子の遺伝子異常と同定した.私達のグループも10症例を解析し,CCHSの発症にはPHOX2Bの変異が重要な役割をしていると確認した.さらに平成18年度は16例,平成19年度は13例を解析し,以前に解析した10例と併せ変異と臨床型との関係を検討した.39例中30例に変異を認め,29例は5-13個のポリアラニンの伸長変異であり,1例にframeshiftの変異を確認した.5アラニン伸長例では合併症を伴わず,伸長が長い程,巨大結腸症などの合併を伴い,重症である傾向が確認された.また,25例の両親の遺伝子検索を行い,23例ではde novoの変異であり,6アラニン伸長の母親にモザイク変異を,5アラニン伸長変異の症例では3世代に渡り同変異をもつ家系を認めた.また,我々は平成19年度に6家系においてポリアラニン伸長遺伝子が父親由来であることを証明した. 今回の研究から,CCHSの家族検索は,潜在性の罹患者やモザイクの両親を検出する事ができ,治療や遺伝カウンセリングの面から有用と考えられた.
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