研究概要 |
急性前骨髄性白血病(acute promyelocytic leukemia、以下APL)のa11-trans retinoic acid(以下ATRA)療法は、染色体異常に伴うPML/RAR融合遺伝子を標的とした分子標的療法である。 分化誘導療法のメカニズムとして、PML/RAR融合遺伝子と相互作用する転写共役因子の存在が重要である。転写共役因子とはレチノイン酸受容体(RAR)などの受容体と相互作用し、転写レベルで標的遺伝子の発現を調節する蛋白質である。これには転写を促進する因子、抑制する因子などがある。APLではPML/RAR融合蛋白質および抑制系の転写共役因子が、複合体を形成することで、正常な転写が抑制され、癌化することが考えられる。しかし詳細については解明されてない点が多い。 変異PML/RAR融合遺伝子はATRA耐性となる。このとき、転写共役因子群との相互作用の変化がおこることが考えられる。そこでATRA耐性細胞における転写共役因子の動態について検討することを試みる。 (1)発現ベクターの構築 変異PML/RAR遺伝子(mPML/RAR)および転写共役因子の発現ベクターを構築した。 転写共役因子は、転写促進共役因子(SRC-1, TIF-2, CBP, p300)および抑制系共役因子(N-CoR)を用いる。 (2)変異PML/RAR遺伝子の結合実験 mPML/RARと転写共役因子との結合をプルダウン法にて行う。現在、条件を検討している。 (3)DNA結合実験 mPML/RARと転写共役因子の複合体が、RAR応答配列に結合するか否かを、ゲルシフトアッセイを用いて検討する。 現在、条件を検討中である。
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