研究課題/領域番号 |
18790744
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
天野 賢治 理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, リサーチアソシエイト (60333340)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | DSCAM / ノックアウトマウス / 中枢性呼吸障害 / 免疫グロブリンスーパーファミリー / 吸息先行型ニューロン / 延髄呼吸中枢 / 致死 / ニューロンネットワーク / 呼吸障害 / 神経系免疫グロブリンスーパーファミリー( / 電気生理学実験 / 摘出脳幹-脊髄標本 |
研究概要 |
DSCAMはヒト21番染色体上に位置し、細胞接着や軸索誘導など神経系の発生・分化に深く関わる神経系免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。本研究課題では、中枢性呼吸障害を伴い出生後24時間以内に死亡するDscamノックアウトマウスを用い、中枢性呼吸制御に関わるDscamの機能について検討を行った。摘出脳幹-脊髄標本を用いた光学的測定法により呼吸性ニューロン群の活動を調べたところ、Dscamノックアウトマウスでは延髄呼吸中枢に存在し且つリズム形成ニューロンの一つと考えられる吸息先行型ニューロンの同調した発火の欠損を見いだした。また、後根神経節ニューロンをDSCAM基質上で培養することにより、Dscamホモフィリック結合がニューロンの突起伸長を促進することを観察した。さらに、呼吸中枢を電気刺激した後に派生する延髄での神経活動に異常が見られたことから、呼吸性ニューロシネットワークの形成が障害されている可能性を見いだした。脳の組織学的解析からは、延髄が細胞数の増加により肥大し、特に顔面神経核の背側領域に正常マウスでは見られないニッスル染色陽性の細胞群が存在することを確認した。これらの結果から、DSCAMが中枢性呼吸性ニューロンネットワークの形成、特に吸息先行型ニューロンネットワークの形成に関与していることが示唆された。また、高二酸化炭素濃度下における呼吸リズムについて測定したところ、Dscamノックアウトマウスの呼吸数は高二酸化炭素濃度下においてむしろ減少しており、化学受容器での何らかの異常と考えられる結果を得た。先天性中枢性低換気症候群の発症は化学受容器の異常との関連が示唆されており、先天性中枢性低換気症候群或は乳幼児突然死症候群などの中枢性呼吸障害の発症機序を理解する上で、本研究課題により得られた結果が有益な情報となることが期待される。なお、本研究結果は現在論文投稿中である。
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