研究課題/領域番号 |
18790820
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
朱 剛 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (80400133)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | てんかん / PRIP / ノックアウトマウス / AP3B |
研究概要 |
本研究では、ヒト痙攣性疾患の病態を解明するために、形質膜上に分布している機能性蛋白の輸送に関与する輸送蛋白に焦点を定め、IP3及びGABA_A受容体γ2サブユニットの輸送担体であるPRIP-1蛋白の遺伝子欠損マウス(PRIP-1KO)を用い、神経伝達機能変化と行動学的変化を検討した。PRIP-1KOは生後8週齢以後に自発性けいれん発作と異常脳波所見(ictal discharge)が観察された。wild-type(WT)と比較してPRIP-1KOでは海馬グルタミン酸基礎遊離及びK^+刺激性遊離変化は認められなかったが、GABA基礎遊離及びK^+刺激性遊離は亢進していた。PRIP-1KOのGABA遊離亢進はIP3受容体阻害薬により抑制された。Diazepam(DZP)はPRIP-1KOのてんかん性放電の発現頻度を有意に減少させた。しかし、PRIP-1KOはWTと比較し、最大電撃けいれん(MES)に対するDZPの抑制効果が有意に低下していた。細胞質及び膜分画におけるPRIP-1KOのGABA_A受容体構成サブユニット分布量の変異は認められなかったが、IP3受容体のIP3R-1とIP3R-3の発現量が有意に増加した。以上の結果から、PRIP-1KOはGABA及びIP3R情報伝達系機能障害を獲得した、新たな自発性てんかんモデルとなりうる可能性がある。PRIP-1KOのてんかん原生に関しては、GABA遊離増加という点から、従来のバランス破綻仮説では十分に説明できない。むしろPRIP-1KOのGABA遊離亢進はIP3結合・輸送機能の障害に起因すると考えられ、PRIP-1KOの自発性けいれん発現機序にはIP3受容体の機能障害の関与が示唆される。一方、MESに対するDZPの抑制効果がWTより低下していたことより、PRIP-1KOではGABA_A受容体の機能障害も存在することが示唆される。GABA受容体を標的とした抗てんかん薬に対する抵抗性モデルとして、PRIP-1KOの有用性が予測される。
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