研究概要 |
視覚的同時的複式物体弁別課題および統制課題を用いた.統制課題としては,視覚刺激の弁別を必要としない,タッチパネルへの反応課題を用いた.統制課題では,タッチパネルに提示される視覚刺激がなんであれ,刺激提示後タッチパネルへ反応すれば報酬を得ることができた.同時的複式物体弁別課題と統制課題には異なるラットを割り当てた.2対の視覚刺激を用いた同時的複式物体弁別課題の遂行において,連続2セッション60%(60%群)または,80%(80%群)以上の正反応率を示したセッション終了後(統制課題を遂行している(統制)群では,同数のセッション終了後),直ちに断頭を行い脳を摘出した.ドライアイスを用いて凍結した状態で,嗅周皮質の分離・摘出を行い,ホモジェネートの後,ウェスタンブロッティング法に供した.60%群,80%群,統制群におけるCaMKIIおよびリン酸化されたCaMKIIを定量した.それにより,物体についての記憶を遂行中の嗅周皮質ニューロンにおいて,CaMKIIがリン酸化され活性化している可能性が示唆されたが,今後被験体数を増やして検討を続ける必要がある.
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