研究概要 |
直径20mm以下の小型肺結節を有し,PET検査を施行された症例の中で,手術,生検,経過により結節の良悪性が判明した70例(胸部CT検査の後にFDG-PETを施行した50例および,PET/CT検査を施行した20例)のFDG-PETと胸部CT像のそれぞれの特徴を抽出した。それぞれ,結節病変レベルの(1)PETの横断像,(2)PET横断像+早期,後期のSUV値,(3)CT像(肺野条件+縦隔条件),(4)PET+CT像のそれぞれを5段階評価で良悪性判定を下し,PETの集積と早期像から後期像での増加率,CTでの画像の特徴(病変部位,吸収値,石灰化の有無,スピキュラの有無,周辺の散布影の有無,GGOの有無とその形態)を分析した。 ROC解析を用いた良悪性の診断の正診率はCT+PET>CT>PETの順であり,SUV値やその変化率のみでは不十分であった。形態像としては,辺縁性状や石灰化有無のみでは鑑別が困難であり,多変量的な解析においては,病変部位や周辺の撒布像の有無も判定に寄与しGGOを有するものにおいては,CTでの評価が重要であった。PET/CTにおけるCTでは呼気呼吸停止位での撮像であるが,通常の吸気呼吸停止における胸部CTとの有意な差は認められなかった。CTの自動診断を用いた結節の検出をあわせると,FDGの集積を持たない偽陰性を数多く拾う危険があるが,既知の小結節の診断においては,FDGとCTの両者を併せた診断が必要であることが示唆された。今後,さらに継続し自動解析を試みる予定である。
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