^<123>I-BMIPPシンチグラフィは脂肪酸代謝イメージングとして虚血性心疾患や心筋症の診断に有用である。今回われわれは腎不全モデルラットを作成し、腎不全状態における心筋障害の程度を脂肪酸代謝を指標として研究を行った。対照は、0.75%アデニン添加飼料を4週間投与して作成した腎不全ラットおよび正常対照群それぞれ3匹ずつである。方法は両群のラットに^<125>I-BMIPP0.8MBq投与15分後にラットの心臓を摘出し、オートラジオグラフィ法にしたがって凍結標本を作製し、切片をイメージングプレートに爆射し、得られた画像の定性解析を行った。結果は、イメージ上は腎不全ラット群および正常対照群との差は認められなかった。前年度の研究では、腎不全モデルラット群の心筋へのBMIPPの取り込みはdose calibrator測定上は低下していたが、今回の視覚的評価においては、心臓の摂取率の差は認められなかった。腎不全の程度が心筋への^<125>I-BMIPPの取り込みに影響すると考えられるので、より腎不全の進行したラットを用いた場合、あるいはアデニンによるモデルラット以外の腎不全ラット(例えば片腎6分の5腎摘ラット)を用いた場合、画像上差がでた可能性があると思われた。また、今回切片標本を手動で作成したため、切片の厚さの違いも画像に反映された可能性もある。さらに、今回の研究ではオートラジオグラフィ法を用いたが、動物実験用核医学診断装置を用いた場合の検討は行っていないためさらなる研究が必要であると思われた。
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