研究概要 |
【目的】乳房腫瘤性病変はヘマトキシリンエオジン(HE)染色の肉眼像で,ある程度,良悪性の診断が可能である.両側乳房同時撮影可能な複数の表面コイルを使用した高分解能MR1(HRMRI)の解像度はHE染色の肉眼像の解像度に相当する.このことから,HRNRIの診断(HRMRI診断)が乳房腫瘤性病変の良悪性判定に有用か否かついて検討した.【対象症例】2006年10月〜2006年12月.乳癌に対する術前化学療法施行症例を除き,両側乳房のHRMRIが施行され,当院で病理診断がされた連続した43乳房病変.【方法】HRMRIの診断は,日常診療に準じ,さらに,日本乳癌取扱い規約の乳腺腫瘍の組織学的分類を想定した組織型分類を施行した.病理診断は,日本乳癌取扱い規約の乳腺腫瘍の組織学的分類に準拠した,【結果】HRMRIの乳房内悪性病変の検出率は,病理診断で悪性とされた34例,全例が検出でき,100%であった.HRMRI診断は,悪性の疑いが37例で,良性疑いが6例であった.病理診断は,悪性が34例,良性が9例であった.良性悪性の診断について,HRMRI診断は,病理診断を基準とすると,感度100%,特異度66.7%,正確度93.0%,陽性的中度91.9%,陰性的中度100%であった.HRMRI診断が悪性疑いで病理診断が良性の3例(9例-6例)全てがHRMRI診断で非浸潤性乳管癌疑いとされた症例であった.【結語】(1)本研究において,HRMRIの乳房内悪性病変の検出率は100%であった.(2)HRMRIは乳腺腫瘍の良悪性の判定に関して高い感度をもつ検査であることが解った.(3)HRMRIで非浸潤性乳管癌とされた場合は,偽陽性症例である可能性を考慮し,注意深く診断にあたるべきである.
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