研究概要 |
C57BL/6マウスにcyclophosphamide(以下CTX)あるいは生理食塩水を腹腔内投与し、7,14,21日目に末梢血中のCD34、flk-1陽敗細胞数をflow cytometiy で測定した。GFP陽性骨髄細胞を移植したキメラマウスを用いて、CTXあるいは生理食塩水を腹腔内投与後にLewis肺癌細胞5×106個を皮下投与した腫瘍モデルを作製した。腫瘍移植後4, 6, 8,10日目に血管内皮前駆細胞の末梢への動員を制御する目的で抗CXCR4抗体を腹腔内投与した。移植後14日目に腫瘍を摘出し重量を測定した。腫瘍血管密度、細胞の増殖、腫瘍組織内の骨髄由来GFP陽敗細胞数および血管内皮細胞への分化を組織学的に定量評価した。その結果、末梢血中のCD34陽僧投与群は生食投与群と比べ、腫瘍重量が約1.3倍に増大し、腫瘍血管密度、腫瘍細胞増殖率、およびGFP陽陛血管内皮細胞数はいずれも高値を示した(全てp<0.05)。一方、CTX投与後の抗CXCR4抗体併用により、腫瘍の増大は抑制され、腫瘍血管密度、腫瘍細胞増殖率、腫瘍内GFP陽性細胞数およびGFP陽敗血管内皮細胞数はいずれも低値を示した(全てp<0.05)。以上より、化学療法後の癌再増大において血管内皮前駆細胞は重要な役割を果たしており、同細胞を標的とした新しい癌治療戦略の合理性が示された。
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