研究概要 |
骨分化過程における骨髄細胞のFas-FasL経路の作用についは殆ど知見がない。ラット由来骨髄間葉系細胞をもちいて、この経路の骨分化に対する作用を検討した。 骨髄間葉系細胞の骨分化誘導培地培養におけるFasL発現量の変化の検討 ラット由来骨髄間葉系細胞を骨分化培地で培養した群とコントール培地で培養した群において、FASLmRNA発現をrealtime-PCR法を用いて、1週から4週まで毎週の時点で検討した。骨分化培地群でのFASLmRNAの発現はコントロールに比べて1週から3週まで減少していた。ウエスタンブロット法を用いて膜型FASLの蛋白量を測定したところ、2週と3週の時点で骨分化培地群での膜型FASL蛋白量の減少が見られた。 骨髄問葉系細胞における分泌型FasLの骨分化に対する影響 ラット由来骨髄間葉系細胞を骨分化培地で培養を行い、これをコントロールとして分泌型FASLを10ng/mlの濃度にて添加した群を作成した。培養を1週から4週まで行い、各週における骨分化マーカーであるALP,BSPをmRNAの発現をrealtimePCR法にて検討した。また3週の時点でArizarin-Red-S染色を行った。ALPmRNAについては3週、4週の時点でコントロール群より分泌型FASL群が低下しており、BSPmRNAは1から4週のすべてにおいて分泌型FASL群が低下していた。また3週時点でのArizarirRed-S染色では、コントロール群が赤色に濃染したのに比べて、分泌型FASL群は殆ど染色されなかった。 以上の結果から、FASLは骨髄間葉系細胞における骨分化に対して抑制的に働いていることが判明した。このことは、骨髄細胞におけるFASLは分化を誘導して骨髄細胞自身をアポトーシスに導くものではなく、外的な細胞に対してアポトーシスを誘導する可能性があると思われた。
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