研究課題/領域番号 |
18791082
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松井 智浩 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50314828)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 脳低温遼法 / マイクログリア / 低温培養 / 高温培養 / 一酸化窒素(NO) / インターロイキン(IL)-6 / インターロイキン(IL)-10 / アデノシン三リン酸(ATP) / 脳低温療法 / IL-10 |
研究概要 |
マイクログリアはサイトカインや一酸化窒素(NO)等の産生を介し、脳損傷時のニューロン傷害と密接に関与する。脳(ニューロン)保護作用を目的とした脳低温療法はこれらの産生を軽減させる可能性があるが、その機序には不明な点が多い。報告者は今までに、LPS活性化マイクロクリアからのサイトカインやNO産生が培養温度変化により受ける影響を明らかにしてきたが、臨床により近い状態で活性化させたマイクログリアを用いた同様な研究が望まれてきた。そこで本年度は、脳損傷時に傷害を受けたニューロンやグリア細胞から遊離あるいは放出される内因性のマイクログリア活性化物質、アデノシン三リン酸(ATP)に着目し、ATP活性化マイクログリアから産生されるサイトカインやNOが低温および高温培養下でどのような影響を受けるのか調べた。新生仔ラット(Wistar:1-3日齢)の大脳よりマイクログリアを単離し、ATP(1mM)添加の下、33℃、37℃、39℃下で6時間培養した。培養上清中のサイトカイン(炎症性:IL-6、抗炎症性:IL-10)産生量はELISAで、NO(N0^2-:NOの安定な代謝産物)産生量は比色法で、それぞれ測定した。その結果、IL-6およびNO産生は37℃に比べ、33℃では有意に低値となり、39℃では差がなかった。IL-10産生は全ての温度間で差は見られなかった。以上より、ATP活性化マイクログリアにおいて、低温培養は炎症性因子(IL-6およびNO)の産生を抑制するが、抗炎症性因子(IL-10)の産生には影響を及ぼさないこと、一方、高温培養は炎症性・抗炎症性因子の産生ともに影響を及ぼさないこと、が判明した。これらの結果は、脳低温療法による脳保護作用の一機序に早期での炎症性因子抑制が密接に関与することを更に強調した。本研究は、細胞間の生理的ネットワークの観点よりATP活性化マイクロクリアを用い、その機序解明の一端を明らかにしようとした初めての研究である。
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