研究概要 |
本研究では延髄の疼痛伝達における制御中枢であるRVMの機能を行動学的,電気生理学的に詳細に検討した。特に近交系マウスの系統(CBA/JとA/J)間で行動学的研究と電気生理学的研究の機能特性に差があることが示された。さらに注目すべきことに,RVMニューロンのタイプは電気生理学的に3種類存在するが,2系統間で存在する割合に差があることが判明した。さらにmu-opioidレセプタ作動薬であるDAMGOを脳室内投与したが,機能特性の変化に差があることが明らかになった。本研究から疼痛やオピオイドの反応性の個人差を予測するための研究で重要なのは神経ネットワークの機能の遺伝的差異が重要であることが強く示唆された。 今後,本研究結果の機序を分子生物学的に検討するために,mu-opioidレセプタの遺伝子多型をターゲットにして研究を進める予定である。同時に手術患者におけるオピオイド鎮痛の差異と遺伝的差異の関連を検討する予定である。
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