研究概要 |
1.なぜマウスで結石形成されにくいのかを究明した。OPNノックアウトマウスが結石を形成する機序を明らかにするため,DNAマイクロアレイを用い,OPN欠損時の結石関連遺伝子(カルプロテクチン,プロトロンビン,バイクーニン,フィブロネクチン)発現を網羅的に解析した。自然発生的に腎結石が誘発される結石マウスを作製した。さらに,OPNノックアウトマウスで過剰発現していた遺伝子を腎結石抑制因子と考え,この発現に対しアンチセンスを用いてブロックした。 2.種々の長さのOPN上流配列をレポーター遺伝子GFPと結合させ,そのDNAをマウスに組み込み,トランスジェニックマウスを作製した。腎臓に関して胎生期から出生後にかけ特定のOPN上流領域が作用することでOPNが発現し出生後徐々にその発現は減少し消失することを明らかにした。 3.抗酸化作用を有するカテキンを多く含む緑茶投与により,尿路結石症を予防し得ることがわかった。腎組織中のSOD濃度が緑茶投与により増加した。機序に関して抗酸化作用が腎尿細管細胞におけるapoptosisを抑制することも知りえた。同様な検討をin vitroで施行し,尿路結石症における抗酸化作用の役割に関してさらに検討を加えた。 4.尿路結石患者に関するSNPの検討尿路結石患者200名から同意のもとに血液検体よりDNAを採取した。これまで報告のあった結石関連蛋白遺伝子をPCR法で増幅し各検体のSNPの有無を判定した。データをアンケートや診療情報に基づいたカテゴリーに分類し,有意な相関関係が存在するか統計学的に評価した。有意なSNPが存在する蛋白が,構造・機能上どのような影響を受け結石形成にいかなる作用を持つかを検討した。将来的にはゲノム創薬に結びつく情報を収集し,遺伝子治療へとつなげていくことを目標とする。
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