研究概要 |
平成19年度は,平成18年度に確立した実験(2)/(3)の方法による測定技術の安定化を行った。具体的には,以下の如くである。 ウレタン麻酔下(1.2g/kg皮下注射)に下腹部正中切開を置き,膀胱を露出する。膀胱頂部より膀胱瘻カテーテル(PE-50)を挿入・固定する。下腹部を開いたまま実験を行うにあたり,臓器の乾燥を防ぐため腹腔内にミネラルオイルを満たす。膀胱内に挿入したPE-50を,三方活栓を介してシリンジポンプ(Pump22[○!R])および圧トランスデューサに接続する。シリンジポンプにより膀胱内に0.04 mlAnin の生理食塩水を持続注入し,排尿反射を惹起,圧トランスデューサをPower Lab[○!R]に接続することで膀胱内圧測定を行う。続いて,気管切開によりPE-240チューブを挿入し,人工呼吸を可能とする。左骨盤神経を骨盤神経叢より中枢側で周囲組織より剥離し,記録電極1対を神経線維に掛ける。膀胱求心性神経電位を記録するため,神経線維中枢側は切断する。神経活動電位は,記録電極→高感度生体増幅器→A/D converter (PowerLab[○!R])→パソコンを接続したシステムで行う。前述のように,シリンジポンプにより膀胱内に0.04 ml/min の生理食塩水を持続注入することにより排尿反射を惹起し、同時に神経線維から活動電位を記録する。次に,神経活動電位記録時の周辺ノイズを軽減するため,筋弛緩薬ガラミン静注により横紋筋の活動電位を消失させる。同時に人工呼吸を開始する。同様に膀胱内圧測定,骨盤神経線維の活動電位を記録する。麻酔深度,手術手技,電磁波の遮蔽状況が,測定結果に影響するため,今後更なる工夫を施し,テレメトリー測定技術の基礎を確立する必要がある。
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