研究概要 |
卵巣癌(HAC-, HOC-I, HUOA, HUOCA-II, OMC-3, SHIN-3)および絨毛癌(BeWo, HCCM-5, HM, Ima, JAR, JEG-3, MUC-1, SCH)培養細胞株の培養を行い、その培養上清を回収した。約70種類のプロテアーゼ活性測定用のペプチド性蛍光基質(peptidyl-7-amino-4-methyl coumarin (MCA))を用いて、培養細胞の上清のプロテアーゼ活性を測定した。その結果、1)ペプチド性蛍光基質を使用して、細胞ごとに異なる培養上清のプロテアーゼ活性を確認できた。2)FBS存在下と無血清の場合では得られるプロテアーゼ活性は異なった。3)プロテアーゼ活性プロファイルの検討からは、分泌性プロテアーゼとして、今回検討した培養細胞上清に分泌されているものはおよそ10種類程度であることが推測された。 これらのプロテアーゼ活性の責任遺伝子を同定するために、バイオインフォマティクスの方法論を利用し、候補遺伝子の絞り込みを行った。ヒトゲノムデータをもとに、既知の分泌性プロテアーゼ分子と相同性を有する遺伝子を検索し、約500種類の分泌性プロテアーゼをリストアップした。公開されている卵巣癌ESTデータと比較し、候補遺伝子を約50遺伝子に絞り込んだ。 また臨床検体の収集を行った。文章による同意が得られた卵巣癌患者の手術前(治療前)血清・健常者血清を収集し、患者血清と健常者血清のプロテアーゼ活性パターンを比較した。
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