手術時摘出子宮から子宮筋腫組織と正常子宮筋組織を採取し、それぞれゲノムDNAを抽出し、ゲノムDNAメチル化パターンの相違をRestriction Landmark Genomic Scanning (RLGS)法を用い七解析した。その結果、約1800個からなるDNA断片が展開された。子宮筋腫では正常子宮筋に比較し17 個領域が低メチル化に、12個領域が高メチル化となっていた。従って、筋腫は多くの遺伝子領域のDNAメチル化異常があることが明らかとなった。RLGS解析により、正常子宮筋と子宮筋腫との間でメチル化パターンが異なっていた遺伝子領域の同定を行った。ゲノムDNAをNotl-PvuII-PsIで切断した時の理論的2次元電気泳動パターンをコンピューター上で展開した(virtual RLGS)。実際に正常子宮筋と子宮筋腫でメチル化に違いがあった領域に対応するスポットをvirtual RLGS上で抽出し塩基配列を決定する方法を用いた。これにより正常子宮筋に比べ子宮筋腫で低メチル化状態となっていた1つの領域(481 bp)を向定した。実際に、この領域が子宮筋腫で低メチル化状態であることをNntIを用いたmethylation sensitive PCR法で確認した。ヒトゲノムデータベースからこの領域の遺伝子検索を行ったところ、同領域は既知の遺伝子領域ではなかったが、塩基配列から新たな遺伝子の存在が予想された。 RT-PCR法によりmRNA発現を調べたところ、この領域からmRNAが転写されていた。さらに、多症例の正常子宮筋層、子宮筋腫で同領域のメチル化の状態を調べた結果、多くの症例で子宮筋腫では低メチル化状態であり、mRNA発現は亢進していることが明らかとなった。
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