研究概要 |
本研究の目的は,前庭水管拡大症の原因として知られているSLC26A4遺伝子とSIX1遺伝子の関連を調べることにより,前庭水管拡大症発症の詳細なメカニズムを究明することにある。このために,SIX1遣伝子とSLC24A遺伝子の相互作用についてノックアウトマウスを用いて内耳での発現を中心に聴覚の評価と免疫学的考察および内耳形態学的考察を試みる。まず,類似したphenotypeを呈するSIX1遺伝子とSLC26A4遺伝子間のprotein-protein interactionの存在を確認する。その際,どちらの遺伝子がより上流から他方の遺伝子の発現を制御しているかを検討する。 本年度(平成20年3月30日)の研究実施計画は,内耳内のPendrinの局在についての確認を計画した。まず,老人医療センター病理部とともに剖検で得たヒト側頭骨をもちいて,Pendr加の内耳局在を調べた。剖検時に採取した側頭骨を20%ホルマリシで固定し,中性EDTA液で脱灰し,パラフィン包埋切片を作成した。切片を免疫染色を施行。使用した抗体はPendrinの他,内耳内外有毛細胞の細胞内に局在するPrestin,その他内耳に広く存在するNa-K-ATPaseα-1サブユニット,NeuroNamentを用いた。染色の結果,Prestinはヒト外有毛細胞に強い染色を認めた。Na、K'ATPaseα、1サブユニットは血管条に染色を認め,Neurofilamentは神経線維およびコルチ器内の有毛細胞神経末端にも染色を確認した。Pendrin似ついての結果は次年度に報告予定である。
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