研究概要 |
平成19年度は(1)老人性難聴患者のDNAサンプル収集,聴力検査の集計,(2)老人性難聴関連候補遺伝子の一塩基多型(SNP)解析,(3)加齢促進マウスを用いた機能解析研究を行った。 (1)老人性難聴患者のDNAサンプル収集,聴力検査の集計: 老人性難聴関連遺伝子の同定とその作用機序を検討するべく,長野県松本市を中心に40代から80代のボランティア300余名を対象に聴力検査を行った。その結果,典型的な老人性難聴を呈する一方,或る割合で年齢に比して聴力レベルが維持されているサンプルが存在した。 (2)老人性難聴関連候補遺伝子の一塩基多型(SNP)解析 高齢であっても或る割合で老人性難聴を示さない方が存在することから,環境要因が主因と考えられる老人性難聴においても遣伝的要因があると考えられた。そこで,インフォームドコンセントの上採血し血液DNAのSNP解析を試みた。その結果,あるSNPを持つサンプルは同年代のそれに比して聴力レベルが有意に低いことが認められた。この候補遺伝子は炎症や,眼病に関連することがしられていることから,老人性難聴のみならず,老化現象に広く関わることが示唆さた。本研究結果は論文執筆中である。更にサンプル数を増やし,再現性を確立することを目指す一方,老人性難聴以外の形質(血圧,骨密度など)と該当SNP genotypeとの相関性について検討した。 (3)加齢促進マウスを用いた機能解析研究 加齢マウス(SAM-Pl:senescence accelerate mouse)の聴力レベルを測定したところ,同週齢のコントロールに比べ低いことが認められた。さらに,週齢別に聴力レベルを検討中である。一方,上記実験結果で認められた老人性難聴候補遺伝子の機能を調べるべく,該当遺伝子のメチル化レベルを経時的に検討した。
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