研究概要 |
従来,コリン作動性神経の同定方法は,アセチルコリン合成酵素(ChAT:ch0lineacetyransferase)抗体を用いた免疫染色とされていたぶ,現在使われている ChAT 抗体の多くは中枢神経系のコリン作動性神経を同定できるが,末梢神経系のコリン作動性神経を同定するのは困難であり,コリン神経研究の大きな障害となっていた。しかし近年,ラットの翼口蓋神経節のChAT mRNA の splice variant から抗体(periphera1 type ChAT; pChAT 抗体)が作製され,末梢のコリン作動性神経を同定する新しい方法とされた。 われわれはラットの咽喉頭粘膜において pChAT 抗体を用いた免疫組織化学的な検討を行い、アセチルコリンが咽喉頭粘膜の知覚の神経伝達に関与している可能性を示した(細胞38(3),14-l7,2006)、さらにラットの舌乳頭においてpChAT抗体を用いた免疫組織化学的な検討を行い、アセチルコリンが味覚の神経伝達に関与している可能性を示した(口腔咽頭科18(3),357-361,2006.)本年度、それらのデータを検証するとともに、さらに喉頭・気管におけるアセチルコリンの免疫組織学的検討を行い、喉頭声門下から気管におけるコリン作動性神経を同定している。更にその神経の果たす役割について検討を行い,報告する予定である。
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