研究概要 |
この研究は、糖尿病網膜症の前段階としての糖尿病脈絡膜症に注目して計画された研究であるが、まずその足がかりとして、同じ脈絡膜での特異的な病変を呈し本邦でも症例数が増加する一方の、加齢黄斑変性に注目し様々な検討を行った。具体的には、加齢黄斑変性の中でも定義が明確なポリープ状脈絡膜血管症を有する症例において、網膜色素上皮裂孔の形成される症例についての検討を行った(Tsujikawa A, Am J Ophthalmol.27:832-8,2007)。また、同じくポリープ状脈絡膜血管症において光干渉断層計を用いて、冠状断観察を行い検討を加えた(Kameda T, Clin Experimental Ophthalmol.35:596-601,2007)、さらに同様にポリープ状脈絡膜血管症において観察される微小網膜色素上皮裂孔について、その自然経過観察を報告した(Musashi K,Am J Ophthalmol.143:883-885,2007)を行い報告した。インドシアニングリーン蛍光眼底造影を利用したポリープ状脈絡膜血管症に対する光線力学療法(Otani A,Am J Ophthalmol.143:7-14,2007)では、通常のフルオロセイン蛍光眼底造影に基づく光線力学療法では治療対象となりずらい大きな病巣を持った症例でも治療が可能になること、また、小さな照射径でも十分治療が可能であることを報告した。この他、中心性漿液性網脈絡膜症における網膜色素上皮の変化に関しても報告をした(Hirami Y,Clin Experimental Ophthalmol.35:225-30,2007)。 一方で動物モデルを用いた実験としては、iNOSノックアウトマウスにおいて網膜での血液細胞-血管内皮相互作用が抑制されること(Iwama D,Brit J Ophthalmol.2008 in press)を報告した。
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