研究概要 |
・本申請者の作成した生理的形態を維持した角膜上皮標本の局所刺激 これまで,空間的・時間的解像度に優れている高速共焦点レーザー顕微鏡を用いて,組織中の種々の細胞の[Ca^<2+>]i変動を解析してきたが,分化度の異なった細胞層(基底細胞層,中間翼細胞層,表層細胞層の三層が区別される)から構成される角膜上皮では,細胞間を伝播する[Ca^<2+>]i変動が中間翼細胞層で顕著であるのに対し,他の細胞層では弱いことを明らかにしたが、分化度が個々の細胞の[Ca^<2+>]i変動に影響しうるかどうかに関しては,未だに結論は出ていない。そこで本研究では,角膜の輪部と中央部から生きた状態の上皮組織を採取し(マイクロケラトームを用いて作成した標本を灌流水槽に移し替え,周囲をバッファーで灌流し,カルシウム感受性色素(Indo1)を標本に負荷した。)ATPを用いたプリン受容体刺激で生じた[Ca^<2+>]i変動に相違がないかどうかを比較検討した。その結果,もはや分化をとげたと思われる表層細胞でさえ,幹細胞の存在する輪部から採取された細胞と中央部のものとでは,上昇した[Ca^<2+>]iを下げる機構,いわゆる「Ca^<2+>消去系」に機能的差異が存在することが示唆された。現在、岩手医学雑誌に原著「ウサギ角膜輪部と中央部における上皮細胞のカルシウムイオン動態の比較」を投稿中である
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