研究概要 |
我々はNTG患者において、データべースとなる治療前の眼圧の日内変動について最高眼圧および最低眼圧を調べ、NTG患者として眼圧の高い群に属するか、低い群に属するかの、後の設定に対する準備を行い、症例を蓄積しており、現在までにおよそ100例強となっている。各患者のバックグラウンドとしての全身疾患の検索および家族歴についても詳細な調査を行い、また脈波伝導速度の測定による動脈硬化度の判定を行っており、さらにHeidelberg Retina Flowmeter による視神経乳頭部の血流測定を行い、緑内障性視野障害の部位と血流障害の相関についても同時に解析を進めており、目標とするデータべースの完成に向かいつつあるところである。 NTG患者に対し同意を得たうえで採血し、新規にET-1血漿濃度の測定およびInvader法によるET-1(EDN1)およびET-A受容体(EDNRA)、ET-B受容体(EDNRB)の遺伝子多型の解析を行い、すでにわかっているEDNlのK198N, +138ins/del, T4124Cと臨床像(視野進行度・発症年齢・家族歴高血圧・高脂血症など)との関連を調べることを行う予定でデータ数の増加を見込んでいたが、これは予定より遅れており、今後の課題である。 さらに発展した内容として、動脈硬化に関わると考えられる、プロスタグランジン受容体の遺伝子多型についても解析を進めたが、ある遺伝子多型が緑内障患者のみ存在し、コントロール群には認めないことを見出し、血管因子が原因と考えられる開放隅角緑内障の一つのタイプと考えられた。本研究によって新たに見出された開放隅角緑内障の一つの病因・病態と考えられる。この遺伝子多型による緑内障発症のメカニズムの解明も今後の課題と考えられる。
|