研究概要 |
深在性真菌症も生体の恒常性を維持する意味でapoptosisおよびnecrosis,抗炎症性サイトカインと炎症性サイトカインのバランスが大きく関与していることは明らかである。臨床の現場においては,深在性真菌症は敗血症と複雑に病態が混合してしまっており,病態を解明することは困難である。しかし迅速なβ-Dグルカン値とサイトカイン測定により,その病態を解析し,それを基に重症度の予測や適切な治療には結び付けられるのではないかと考え,研究しており,以下のように実績を挙げ,今後研究を継続するつもりである。第42回日本腹部救急医学会総会ワ-クショップ,第9回日本臨床救急医学会総会ワークショップにおいて炎症性サイトカイン,抗炎症性サイトカインおよびHMGB1などについて測定し,深在性真菌症におけるβ-Dグルカンとの関係についてある程度解明することが可能となり発表した。また第20回日本外傷学会総会,第61回消化器外科学会総会にて発表し研究実績を残した。さらに第29回米国ショック学会総会においても発表し本邦および海外においても一定の評価は得られたと考える。本年度日本ショック学会総会,日本消化器外科学会総会,日本臨床外科学会総会,日本腹部救急医学会総会においても発表し研究実績を残した。最終報告として平成20年4月以降,日本外傷学会,日本麻酔学会,日本臨床救急医学会,米国外傷学会総会でも発表予定であり国内外においても今後一定の評価は得られると考える。また,apoptosisに関連したサイトカインネットワークも解明しつつあり,迅速サイトカイン測定により早期に病態の把握が可能となり,オーダーメイド治療への第一歩にもなる。深在性真菌症治療はもとより救急集中治療領域における重症化の予測など大いに貢献しうると考え,科研費終了後もさらなる研究実績を積んでいきたいと考えている。
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