造影剤をトレーサーとして悪性腫瘍周囲に注射し、CTやMR画像検査によって検索されたセンチネルリンパ節生検を行う方法は、簡便で精度の高い方法として開発が期待されている。本研究課題では白色家兎の舌にVX-2細胞を移植し、所属リンパ節転移モデルを作製した。舌へのヨード系造影剤注射を施した後、6時間後に当該部位を剖出して実験用マイクロCTを用いてリンパ節描出を行い得た。濃度分解能に比較的乏しい実験用マイクロCTでリンパ節を描出し得たことは、濃度分解能の高いCTやMR画像検査による臨床応用の可能性を示唆するものであり意義深い結果であった。 さらに、本研究課題では造影剤とともに放射性同位体を造影剤と同時に悪性腫瘍病巣周囲に注射し、その集積の程度から近年普及のめざましいPET-CTによる「機能・形態」検査の開発を目指しており、予備実験として本施設で実験可能な67-Gaによるリンパ節の描出を試みた。オートラジオグラフィでは、直径3mm程度のリンパ節を描出し得た。描出されたリンパ節には病理組織学的に悪性腫瘍の存在を確認したが、同時に周囲組織にも集積を認める領域を生じSU値のカットオフ点の設定に依存することが示唆された。 センチネルリンパ節生検は、手術侵襲の極小化と生存率を上昇させる手法として広がりを見せているが、蛍光法では検索が難しく、放射線同位体を用いた方法には被曝の問題を内包する。本研究の遂行は所属リンパ節への転移の有無が生存率を大きく左右する頭頸部悪性腫瘍の治療に寄与することが強く示唆される。
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