研究課題/領域番号 |
18791409
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 章浩 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (20408305)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | レーザー / 9.3μm / 軟化象牙質 / 脱灰象牙質 / ハイドロキシアパタイト / 乳酸 |
研究概要 |
本研究における目的は齲蝕原因菌の感染により脱灰した象牙質の再生が可能かを検討することである。 感染象牙質に9.3μm短パルスレーザー照射により、感染歯質を無菌化し、ハイドロキシアパタイトの添加または貼付により、脱灰した象牙質を再石灰化させる。この計画に基づき、前年度は照射条件の検索および実験条件を規定するために必要な脱灰象牙質プレートの作製方法を検討した。 その結果として現段階では照射条件は20J/cm^2・10パルス、脱灰象牙質プレートは4mol%乳酸水溶液に4日間浸漬したものが望ましいとの結果を得た。 その上で予備実験として行ったアパタイトの付着実験では、窩洞に粉末、泥状、黒色インクにて泥状にしたアパタイトを貼付、再照射を行ったが、再照射時にアパタイトが飛散してしまうため、窩洞内にアパタイトを留める事はできなかった。 照射条件の再検索を行い、脱灰象牙質の浸漬時間を短縮させることにより窩洞の状態を変化させレーザー照射部分の硬さや脱灰深度の変更を試みた。しかしながら前述した粉末、泥状、黒色インクにて泥状にしたアパタイトは貼付後の再照射で同様に飛散した。 アパタイトを貼付後レーザーの再照射を行わず、同部にボンディング材での封鎖を行ったが、軟化象牙質上にアパタイトを貼付しているためボンディング材は探針により容易に脱離した。これによりアパタイトの軟化象牙質上への貼付・圧接が非常に困難であることがわかった。またアパタイト貼付後の窩洞断面の状態をSEMにより観察した。アパタイトと思われる構造物は窩洞の上部に付着していたがその層は均一ではなかった。更にアパタイトは軟化象牙質中に取り込まれているのではなく歯質に固定されている様子も観察されなかったため、窩洞内に堆積しているような状態であることが推測された。 以上の実験から、軟化象牙質のアパタイト粉末を使用した再石灰化は成功しなかった。 本研究において再石灰化とともに目的とした歯質の改質に関しては最石灰化の実験が滞ったため詳細に行うことが出来ず結論を出すことは出来なかった。歯質の改質に関しては、Er:YAGレーザーにより耐酸性の向上が認められるとの報告もあることから、アパタイトを使用せず歯質の耐酸性の向上や硬度の向上が可能かに関しては、いまだ検討の余地があると考えられた。
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