研究概要 |
本研究課題は,OSASに対する口腔内装置(OA)を用いた治療法をより効果的にかつ確実なものとするため,下顎位およびオトガイ舌筋(GG筋)・咀嚼筋筋電図等の顎口腔機能と終夜ポリグラフ(PSG)検査による睡眠・呼吸機能を検索し,顎口腔機能および睡眠・呼吸機能という2つの観点から,OAに付与すべき下顎位の指標を確立しようとするものである. 被験者は健常成人男性4名で、実験用OAはGG筋筋電図記録用電極の設置および下顎を任意の位置へ固定するため、被験者毎に上下顎歯列を被覆するOAを製作した.GG筋記録用電極は自作の銀ボール電極(直径2mm)を用い,舌側床縁を舌運動を妨げない範囲で可能な限り延長した下顎OAの犬歯〜小臼歯部付近の床縁に設置した(電極間距離7mm)。呼吸状態は、ディスポーザブル・エアフローセンサー(株式会社ミユキ技研製)を用い記録した. (1)GG筋筋活動と呼吸動作:GG筋筋活動量は座位・仰臥位ともに呼気時に比べ呼気時において大きくなる傾向が認められたものの有意な差は認められなかった. (2)下顎位を前方に変化させた際:50%下顎前方位でのGG筋筋活動量は(下顎最大前方位における筋活動に対する割合)、座位で55.2%、仰臥位で65.2%と仰臥位で高い値を示した. (3)咬合高径を変化させた際:咬合高径を高くするにつれGG筋筋活動は上昇し、特に開口量12mmは座位で50.5%、仰臥位で71.7%と両体位ともに著しい筋活動量の上昇を認めた. 以上の結果から、GG筋活動は体位および下顎位に関連し、下顎位の前方への移動および咬合高径の挙上に伴い活動が大きくなることが示唆された。また座位に比べ仰臥位においてGG筋活動は下顎位の影響を受けやすいことが推察された。
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