研究概要 |
本年度は,まず昨年度導入した3次元プリンタ(XD700,グラフテック社)を用い,下顎のモデルを製作した.昨年作成したモデルを発展させ,無歯顎模型に適合する有床義歯モデルを作成した.有床義歯モデルは,STLファイルとし,3Dプリンタにより樹脂モデルを製作することができた.昨年の補強構造と合わせて,義歯の構成要素を,コンピュータ上のモデルから製作することが可能となった. 次に,非接触型3次元形状入力機を用いて,上顎無歯顎症例の顎堤形態の3次元計測を行った.得られた表面形状データをパーソナルコンピュータにて点群モデラーおよび汎用3次元CADソフトを用いて,顎堤粘膜などの設定を行いて3次元モデルを作成した.上顎の有床義歯には,補強構造の有無の設定を行い,有限要素解析ソフトを用いて,荷重を加えた場合に,義歯床に生じる応力,変位を解析し,設計による影響を検討した.その結果,補強の影響が認められた. 以上のことから,本実験により,患者の口腔内から製作した模型をもとに,コンピュータ上で義歯を設計し,3次元プリンタにより設計した義歯の形状を作り出すことが可能となった.その過程では.非接触型3次元形状入力機を用いて,口腔内の顎堤粘膜の形態をコンピュータ上に取り込み,モデルを作成し,義歯を設計し,有限要素解析ソフトにより応力解析を行い,患者口腔内の形態に応じた設計を行う可能性が確認された.今後は,さらに,詳細なモデルを作成,検討し,実際に口腔内で使用できる義歯の製作を検討する
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