| 研究概要 |
本研究では,市販の金属,金属接着性プライマー,間接用コンポジット等を実験材料として使用した。
金属材料には,クラウンブリッジ用チタン合金であるTi-6A1-7NbおよびCP Tiを使用した。
摩耗試験に先立ち,チタン合金に有効な金属接着性プライマーを評価するため,各種プライマーのチタン合金表面に対する接着力を剪断試験にて評価した。摩耗試験は,金属材料とコンポジットの接合体として製作した。異種材料界面には,接着剪断試験の結果から有用であると考えられるプライマーを使用した。3成分系摩耗試験機を用いて耐摩耗性改善に関連する各種物性測定を行った。
最初にクラウンブリッジ用チタン合金に対して有効な市販金属接着性プライマーを,サーマルサイクル負荷後,接着剪断試験にて評価した。その結果,Ti-6A1-7Nbに対しては,10-methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphateを含有した市販金属接着性プライマーが有効であった。一方,貴金属に対して有効とされている
6-(4-vinylbenzy1-n-propy1)amino-1,3,5-triazine-2,4-dithioneは,Ti-6A1-7Nbに対して有効ではなかった。
次に,CP Tiに関して有効な市販金属接着用プライマーを接着剪断試験にて評価した結果,Ti-6A1-7Nbと同様の傾向が見られた。
以上の結果をふまえ,滑走型3成分系摩耗試験の試料として,小臼歯咬合面を模して,チタン合金と前装用コンポジットから成る平板を作製した。材料境界部には金属接着性プライマー塗布あり,なしの2種類とし,プライマーの効果を比較した。また接合試料と材料単体の比較を行うためチタン合金単体の試料を作製した。さらに各試料に対する対合歯の摩耗量も測定した。境界部を持つ試料に対しては,適切なプライマーを塗布することで当該部位の微小破折が減少し,臨床的に破折しにくい補綴装置を製作できる可能性をあることを示した。しかし,境界部を持つ試料は単体と比較して劣化,破壊が進行しやすい構造であり,対合歯が滑走する部位に異種材料境界部を設定することは望ましくないと結論づけた。現在,チタン合金,金属接着性プライマー,間接用コンポジットの適切な組合せについて報告を行うべく準備中である。
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