研究概要 |
口腔内環境の変化によって海馬での遺伝子発現がどのように変化し,また神経新生に関する遺伝子はどのように変化するかを明らかにすることである.そのため実験の基本は飼育形状の変化による海馬の遺伝子発現の違いを明確化する.口腔内環境変化による海馬の遺伝子発現の違いを明確化させる.神経新生に関する遺伝子がどのようなメカニズムで発現するかを検討することである. 実験動物にはラットまたはマウスを用い飼料形状の違いによる変化の観察を行った.飼料形状を固形のものと粉状のものでそれぞれ飼育し,飼育期間終了後海馬に発現する遺伝子発現の評価を行うためにDNAマイクロアレイを用いた.海馬組織を採取しRNAを抽出しスライドガラス上に数万個のDNAスポットを作製し,ハイブリダイゼーションさせた.ハイブリッド形成の強度を指標にして数多くの遺伝子の動的挙動を定量的に計測した.固形飼料を与えた硬性咀嚼群と粉状飼料を与えた軟性咀嚼群では発現遺伝子に違いが見られ,数個の遺伝子に差が見られた.老化促進モデルマウス(SAMP)では飼育期間が異なるため内分泌系の変化などから条件設定を行った.また,これらの条件において脳内のカテコールアミンの動態もマイクロダイヤリシス法により観察を行い,各条件群との比較で変化が見られた.これら内分泌系の変化と遺伝子発現の変化を比較検討を行った. 今回の実験結果を基盤に今後,口腔環境変化(咬合支持の喪失)などにより遺伝子発現の動態に影響を及ぼすかを比較検討できると考えられる. また,それぞれに影響するターゲット遺伝子の機能解析を行うことによって咀嚼器官と脳機能との関わりのメカニズムを解明できるのではないかと考えている.
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